~第11回~ 革工房 GYPSY(ジプシー)
牛革をはじめ、革素材や皮革手芸材料全般を扱う『革工房GYPSY』。創業30年、2代目オーナーの内永宜孝さんが、革の仕入れから革製品のオーダーメイド、修理までを丁寧に行う店だ。インターネットを通じてどんな素材でも手に入る時代だが、革のプロに相談したいと遠方から足を運ぶ人も少なくない。
内永さんは、初代オーナーである父から革の魅力を教えられた。自分も革に関わる仕事がしたいと、大阪の革製品のメーカーに就職。革の選び方からデザイン、縫製、販売までを一から勉強した。工房を任された当初は、修理技術を父から学んだ。修理は一点一点の状態が異なるため、必ずカウンセリングをし、「どこをどのような方法で直すのか」「修理費はいくらかかるのか」お客さんの気持ちに寄り添い、なるべくコストがかからない修理方法を提案する。よくある依頼は、革製のカバンの内側にカビが生えてしまい、内側を新しい生地に変えるというもの。「革製品は湿気を嫌うので、押入れにしまい込まず、適度に使って欲しい」と内永さん。修理できるものは革製品だけでなく合成皮革や厚手のキャンバス地など、「工房には専用の道具があるので、できることなら何でもしますよ」と頼もしい。
初代が作ったカバンの修理を依頼された時、30年間の重みを感じた。父親の背中を追いながら、独自のスタイルで革の魅力を発信し続ける革工房 GYPSY。「革が好きな人、革製品を大事に使ってくれる人が増えたら嬉しい」、親子ニ代の願いだ。
松村香代子(2019年8月7日取材)掲載:こごみ日和82号
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