母の振袖を娘へ
成人式を間近に控えた娘さん。着物姿のお母さんの写真を見て、「成人式にこれが着たい!」とオーダー。元々はお母さんが成人式に着た振袖だったという。その後、袖をカットして訪問着として着用していた。カットした袖が良い状態で残されていたので、縫製してつなぎ目が目立たないように金彩で加工を施した。生まれ変わった振袖を見て、娘さんも当時を思い出したお母さんも大喜び!後日お礼状が送られてきたという。
修理例
着物の修理(かけつぎ) 修理期間目安:1週間 (2015年取材)
カットされた袖部分を縫製。縫い目がわからないように、周辺に金彩で繊細な加工を加えた。つなぎ目部分のみだと不自然なので、着物に施されている季節の花や柄など、全体のバランスを考え身頃にも金彩を散りばめたという。最後に、京洗いといわれるドライクリーニングとプレスをして完成。時代の経過を感じさせない仕上がりとなった。
元の着物の柄に馴染むよう身頃部分にも金彩をほどこしたことで、より一層華やかな印象に生まれ変わった。
アレンジ修理例
着物のしみ抜き(黄変)
皮脂汚れや汗染みなどを放置して、収納しておいたことで出来てしまう黄変。専用の液体の濃度を少しずつ調整しながら、色抜きをしていく。
着物のしみ抜き(カビ)
染みを放っておくと発生してしまうカビ。生地にダメージを与えないようにするのが難しい。カビ落としには、長年の経験が必要だという。
着物のスレ
液体などをこぼした時、ハンカチなどで強くこすってできてしまうスレ。専用の液体で押さえ込んでいくことで、生地の毛羽立ちを元に戻していく。